17P/Holmes彗星

撮影基本データ
2007年11月3〜4日
ビクセンGPD赤道儀、R200SS鏡筒(D=200mm,f=800mm)+コマコレクター
ノブオ電子・ピクシスで恒星追尾
カメラ;フジFinepixS5Pro、Hyper-Utilityによるリモート制御
ホワイトバランス;晴れ、ISO1600、フィルムシミュレーション;STANDARD
ダイナミックレンジ;400%、撮影画素数;4256×2848、画質モード;JPEG Fine
撮影地;長野県原村・八ヶ岳自然文化園
画像処理;Adobe PhotoShop CS3
21:20〜
30秒露出、17フレームをコンポジット、レイヤー処理後にトリミング。
ピントが若干甘いが、アウトバーストで噴出した物質が球状に拡散している様子が見てとれる。
太陽は左下方向で、彗星も左下よりも右上方向がより拡散している。
23:08〜
5秒露出、11フレームをコンポジット、レイヤー処理後にトリミング。
30秒露出では見え難かった彗星の核の存在が確認出来る。同時にコマの最も明るい部分と核の位置が離れている事が確認出来る。
23:15〜
10秒露出、10フレームをコンポジット、レイヤー処理後にトリミング。
5秒露出のものと合わせてみて見ると、核の位置から右上方向、つまり太陽とは反対方向に向けて円錐状のジェット噴射のような形状になっている事が確認出来る。
彗星のコマ全体が太陽からの圧力と反対側の拡散によって若干扁平気味な形になっているのに対し、コマ中心部の明るい部分はそれとは垂直方向の長くなっている事は極めて興味深い。
彗星がもっと太陽に近い位置でアウトバーストを起こしていたなら、この円錐状を延長した方向に長いダストテールが伸びていたかも?
23:21〜
15秒露出、26フレームをコンポジット、レイヤー処理後にトリミング。
短時間露出のコンポジットと比べ、コマの見た目の密度により濃淡が見て取れるようになった。
コマ全体の光度、特に太陽側は、中心部>外縁部>その中間、となっており、この事からコマの内部はダストやイオンなどの噴出物がアウトバースト後に拡散し、その後にコマの成分となる噴出物が安定して供給されていない為に内部の密度が低下、言わば内部が空洞になった球状のコマとなっている事が推測出来る。

短時間露出のものと比較した時、背景の恒星が点状ではなく長く伸びているのはコンポジットの時に彗星の核の位置を基準に重ねた結果、彗星固有の運動が恒星の移動と言う形で現れた為。
23:42に最後のフレームの撮影が終わっているので、21分の間の固有運動、という事になる。
4日、00:41〜
20秒露出、10フレームをコンポジット、レイヤー処理後にトリミング。
撮影時には5秒から3分まで、幾つかの露出時間で撮っているのだが、どのケースでもコマは白っぽい色にしか撮れていない。これはコマの成分がイオンテールを形成するガスよりもダストが多い為と推測出来る。
01:21〜
178秒露出のフレーム1枚をトーンカーブ処理で強調したもの。
短時間露出では明確に見えなかったが、白っぽいコマの周辺に淡い青緑色のイオンのガスがコマを取り巻くように広がっているのが確認出来る。
ただしコマ内部の様子は完全に露出オーバーとなってしまっている為、太陽側の濃淡が何となく見えるような程度で内部の様子は全く見えない。
このフレームは視直径の比較の為にトリミングは行なっていない。
下のM31、あるいはM42と見比べると如何に大きな彗星になったかが伺える。
M31を約120秒露出、トーンカーブで強調処理、トリミング無し。
17Pの見かけの大きさの比較用なのでかなり手抜き。
M42を109秒露出、トーンカーブ処理、トリミング無し。
これもM31と同じく見かけの大きさの比較用。
ただしM31もM42も撮影時に主鏡が霜で曇ってしまった為に写りは冗談にも良いとは言えない。
23:18、10秒露出の1フレームから、コマの中心部を切り向いて処理したもの。
核から太陽と反対方向に短い尾の形で伸びているのが分かる。
右下は中心部を更に拡大して処理したものだが、アウトバーストを起こさなかった場合はこれがこの彗星の本来の形に近いのかもしれない。