2009年3月15日
16:00
いつもの観測地点、長野県原村の八ヶ岳自然文化園到着。
事務局に出向き挨拶後に赤道儀を組上げ、時間が余ったので写真を撮って遊ぶ。
低い位置には若干雲があるが、真上を見るとおおむね良好、今夜は期待出来そうですね。
ふむ、iPhoneでもそこそこは撮れるか。でもS5Proほどではないですね(当たり前だ)
18:00過ぎ、極軸合わせの準備
赤道儀はコンパスでほぼ北向き、極軸望遠鏡の日時のスケールを合わせてコントローラーの電源オン、眼視で北極星が見えた時点で極軸合わせ、微調整も含めて5分程度の作業。
主鏡とファインダーの光軸合わせの為、鏡筒を金星に向け、ついでにピント合わせ。
でも失敗、干渉を利用した自作のピント合わせツールとカメラのスルー画像を使っても、対象の金星がでか過ぎてピントのヤマが掴めない。
先日には不調だった赤道儀はこの日の前週に調整してみたのだが、その確認の為にM42に向けて自動導入。
どうやら調整は良好らしいが、やはりピントがまだいまいち甘い。
って、なんでこんな短時間でなおかつ狭い視野の中で人工衛星が横切るんだよ…。
この後でリゲルやシリウスなどでピント合わせを試みるも、それでもまだ対象が明るすぎる為にまだジャストにはならない。
あれこれやるうちにやっと納得出来る状態になった。
19:00過ぎ
自動導入があてになる事が確認出来たので彗星の座標へ向ける。
この日は19:48頃に南中する為、南中後の撮影がメインになるように鏡筒の向きを西向きになるようにし、コントローラーに表示される数値だけを見ながら導入。
19:15
彗星の位置の確認の為、30秒のテスト撮影、しっかりとカメラの視野の中に彗星はいた。
カメラの視野の中での彗星の位置や尾の向きなどを調整する為の短時間の撮影を繰り返しながらも、撮影された画像の隅に見慣れないようなものが写っている事に気が付く。
なんとなく輪郭がぼやけた感じで面積が有るように見えた事と、その青緑色っぽい印象から天王星?海王星?とか一瞬思ったが、彗星が最優先事項なのでそれ以降は気にもしなかった。
MacBookAirのディスプレイでHyper-Utilityの画面上ではこれくらいの大きさで表示されていた。
その後、本番の彗星の撮影に取りかかる。
20:50
とりあえず満足したので撤収開始、翌日は普通に仕事なので遅くても21:30には終了するつもりでいた。
21:20
撤収完了、帰還。
22:10
帰宅。画像のチェックは飯食って風呂入ってから。
2009年3月16日0:00
画像処理は翌日にでも、ということで、AirからTimeCapsuleを経由して母艦のG4改へファイルを転送、テスト撮影なども含めて画像のチェックと選別にとりかかる。
・・・が、2枚めのファイルで蹴つまずいた。
1枚めのファイルは彗星の位置の確認のためのテスト撮影だったが、2枚めを大きめのサイズで見た所、現地で気になった変な天体、アレが更に変に見えた。
なに?この彗星の左下の緑色のは?
明らかに恒星じゃない。
気になってシミュレータを起動、ファイルの撮影時刻に合わせて画面の中央に彗星を表示させるも、この緑色の何かの辺りにはそれらしい天体は表示されない。
画像とシミュレータの画像とを見比べるとふたご座85番の変光星周辺がそのあたりのように見えた。
恒星にしては見かけが大きすぎるのと輪郭が鮮明ではない印象、加えてこの色・・・彗星?
それでも何か有るはずだと言う事で、シミュレータに含まれている彗星のデータを全部投入、
全部表示させるも、そこには何も出てこない。
でも20:30頃までに撮影した画像で見ても周囲の恒星に対して位置が変わらない=固有運動が無い。
そうなると考えられるのはこの鏡筒で1、2時間程度では固有の運動が確認出来ないほど遠くの位置にある、もしくは地球に向かって来るような軌道(静止流星みたいなイメージ)の彗星、もしくは小惑星が17Pホームズ彗星のような大規模アウトバーストを起こしたか、あるいは恒星が超新星化したような現象?
とにかく正体が確認出来ないのは気に入らない、でも現状ではどう調べても分からない、それならば・・・
01:31
国立天文台の新天体発見時の連絡先に電話で連絡。
約15分後に当直から連絡、撮影時の状況を再度伝え、画像を送って確認する事に。
01:54
縮小してレベル補正した画像を添付して送信。
01:57
送信したメールに対してエラーメッセージ。
>I'm sorry to have to inform you that the message returned
>below could not be delivered to one or more destinations.
>
>For further assistance, please contact <?support@ocn
ええい、OCNめ、この程度のメールでエラー掃き出すとはorz
ほんの300KB程度じゃないか。
02:02
Appleのアドレスから再度送信、今度は問題無く送信出来た模様。
02:23
国立天文台から受信したとの連絡、あとは任せた、わたしゃ寝る!!
03:29
眠っていたが、携帯への着信で強制再起動(笑)、国天から。
『座標が間違っていた、あれはNGC・・・』
ふはは、残念(^^;
そしてこの3:29の電話で全て完了しました。
・・・が、この1本の電話で寝不足となり、月曜は仕事をしていても眠くて…。
しかもそういう時に限ってあれこれとややこしい仕事ばかり。
帰宅後にそのNGCナンバーの天体をVoyager4.5で表示しいたところ、NGC2392、通称エスキモー星雲であると確認。
それなら、何故に今回のような事になったのかを検証したところ・・・
なんてこった、彗星の尾をでかく表示し過ぎていたらしい。↑これがほぼ正しいくらい。
で、これが撮影した画像と同じくらいの視野と縮尺、確かにそれなりな場所にいるな(^^;
今回の反省
・・・なんてしません(笑)
でもこの『これはなんだ?』から始まってあれこれ悩んだり考えたり、そして答えが出るまでのドキドキ感と言うか何と言うかセンスオブワンダーみたいな感じ、これはこれで楽しかったですね〜(^^)